インターローカル ニュース
Inter Local News

 

/// ニュース レポート ///

2003-02-20

 


 3D・スペシャルエフェクト・HD映画に注目

欧州最大のデジタルコンテンツイベント 『imagina.03』

 次回はアジアからの参加に期待も
【関連記事】
ロラン・ピュオンス氏(
imagina.03・ ディレクター)のインタビュー

【EMEX-News特約】 ヨーロッパ最大のコンピュータ・グラフィックス、デジタルコンテンツのイベント 『imagina.03』 がこのほどモナコ・モンテカルロで行われた。同イベントは毎年行われるもので、各種映像分野の専門家が中心に集まり最先端 CG の成果が紹介される。『EMEX-News』のフィリップ・ベルテ氏によるレポートをお送りする。
去る2月3日(月)〜6日(木)の4日間、モンテカルロ Grimaldi Forum で開催されたコンピュータ・グラフィックス、デジタルコンテンツのイベント 『imagina.03』 。

参加者数は、前年比約50%増の1800人で、大学生を中心とする若者層の参加が目立った。彼らは出展されたビデオゲームの特別 セッションに、特に関心を寄せたように見受けられた。

また、地域別では、ヨーロッパからの参加者が大半を占めた。ほかにはアメリカからのパネリストらがいたが、日本をはじめ、アジア地域からの参加者は少なかった。

今年の imagina.03 の会場となった Grimaldi Forum は、新しく建設された会議センターで、広くゆったりとした空間と光が、開放的で良い印象を与えていた。この場所では、会場を訪れた人たちは、各国の著名なパネリストや CG の専門家たちと容易に親睦を深めることができ、活発な意見交換が行なわれていた。

また、これまで複数の会場に分かれて展示されていた、Imagina の3つの主要なイベント−会議、産業と革新の村、上映−も1つの会場で行なえるようになったほか、会場へのアクセスも良くなった。私が泊まった Grand hotel からは、途中、美しい日本庭園を通ってすぐの距離だ。


《開催内容》

1.講演
パネリストの多くはアメリカ、ヨーロッパからで、"3D・スペシャルエフェクト・ HD映画"、"ビデオゲーム"、"インタラクティブテレビ"の3つが主要テーマだっ た。

・3D・スペシャルエフェクト・HD映画
メインセッションで論じられ、映画「ハリー・ポッター」のメイキング、 「3D映像 についての仏英ミーティング 」の講演が中心だった。特に、「ハリー・ポッター」 のメイキングについてヨーロッパで講演されたのは初めてで、人びとの関心を誘って いた。

・ビデオゲーム
「master class 上級クラス」と「円卓会議:ビデオゲームとユーザーのコスト(出 版社、開発会社、ゲーム協会等代表者のパネルディスカッション) 」を中心に特別 なセッションが行なわれ、多くの企業が参加していた。

・インタラクティブテレビ
世界の市場の開発をテーマとした講演を主軸に、特別なセッションで論じられた。

2.産業と革新の村 開発中の新しいソフトウェアやハードウェアが展示されてい た。 個人的にはゲーム関連のシステムが少なく、ちょっと残念。

3.Imagina Awards 世界中の優れたCG作品が一堂に会するため、20年前に Imaginaが生まれて以来のメインイベントである映像のコンペティション。 今年は、日本か らの出品が少なく非常に残念だった。 各受賞作はこちら→  (http://www.emex-club.com/ 内に受賞作品の紹介があります)

      
《まとめ》−あとがきに代えて−
INA(フランス国立視聴覚研究所)が主催していたImaginaの全権を、モナコ公国が取得したのは2000年。 翌2001年の Imagina の開催は見送られたが、2002年にモナコ公国は Imagina をリスタートした。

ヨーロッパでは、Imagina をおいては3D映像、ビデオゲーム分野のイベントがなく、このイベントは大変貴重なものだと感じている。

今回の 『imagina.03』 は前回、前々回と比べ、講演も興味深く充実した内容で、多くの参加者(出展側、来場側共)があった。

来年の 『imagina.04』 について、主催者側は、アジア、特に日本からの、パネリスト、参加者・企業、新たなシステムが多くを集まることを希望し、Imagina が欧州・アジア・アメリカのデジタル映像の出会い場所になるよう企画を進めている。それが、参加側にも主催者側にも大きな意味があるからだ。

Emexでは、次回「imagina04」の企画が明らかになった時点で、順次紹介していく予定。(了)

特約記事の転載、内容についての問合せなどは Emex <Europe Multimedia Expressを発行しているベルテ・フィリップ氏(パリ在住) berthet@kt.rim.or.jp へ直接どうぞ。 Emexホームページ http://www.emex-club.com/

なお、今回はインターローカルニュース用に適宜、見出しや構成、表記などを変更しました。



【編集メモ】 世界で2番目に小さな国、モナコ公国の戦略は?

◆モナコはご存知のとおり、世界で2番目に小さな国です。人口は約3万人。ちなみに私の故郷、奈良県御所市とほぼ同じ。

◆モナコをインターネットで検索してみると、リゾート立国として紹介されているものが目につきます。中には『博打のテラ銭で成り立っている』といったような言い方をしているものもあります。面白かったのが、大阪市が目指している「集客都市戦略」のヒントのとしてあげられていたようなものもありました。

◆同国は議会もあり、独立した国ですが、主権の一部がフランスによって制限されているという面もあります。日米との関係と照らしあわせたような取り上げ方をしているものも結構ありました。

◆そこで気になるのが imagina の位置付け。そもそも、INA(フランス国立視聴覚研究所)が主催していたわけですが、2000年に全権をモナコに。予算的、政治的な理由によるものではないかということですが、はたして、フランスから押し付けられた『お下がり』なのか、集客戦略のなかに組み込む自信があったのか。ベルテ氏のレポートによると50%増の参加者数とのこと。ひとまず好調のようです。

◆ところで、2004年にはEUに新規に10カ国が加盟します。昨年から「欧州将来像会議」が設立され、EUの将来像を描くことを懸命に行われているようですが、EU統合は同時に国や地域の独自性とどう整合性をつけていくか、という問題でもあります。

◆欧州がダイナミックな動きを見せるなか、小国モナコはどうしていくのでしょうか。私はモナコの実情については正直なところよく知らないのですが、 imagina に関しては国の戦略の中にどうはめこんでいくのか興味深いところです。来年は私も取材にいってみたいものです。(高松 平藏)

 

 

|インターローカルニュースtop | 記事一覧 |